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有終の美を飾れなかった大阪・一木「清々しさも感じている」/PUMA CUP 2014

2014.03.15

7年間大阪の主軸として活躍した一木は今季限りでチームを退団する [写真]=本田好伸

SK_PUMA CUP 2014_0314_02PUMA CUP 2014 第19回全日本フットサル選手権大会」の決勝トーナメントで2年連続で準々決勝敗退となったシュライカー大阪。大会の特別協賛社であるプーマがサプライするチームが大会を後にする。2010年大会、2012年大会を制した彼らは今シーズン、思うような戦いを続けて来れなかった。

 名古屋オーシャンズが圧倒的な強さを誇る国内フットサルにおいて、大阪はその名古屋に追随する一番手のチームとして存在感を示してきた。“堅守”や“華麗なパス回し”はいつしか彼らの代名詞となっていた。しかし成熟し切ったその戦い方は、気づかぬうちに変貌してきていた。それは必ずしも良い変化だけではない。「ここ2、3年は結果としてはリーグ2位やPUMA CUPでの優勝もあったが、いつそれが崩れてもおかしくないような状態で、結果だけが出ていたのかもしれない」。チームに7年間在籍し、酸いも甘いも経験してきた一木秀之は、試合後にそう振り返った。

 一木は今シーズン限りでの退団を表明していた。ペスカドーラ町田との準々決勝に敗れた瞬間、彼の大阪での戦いは幕を閉じた。2-3で迎えた試合残り数秒、同点に追い付けるかどうかの瀬戸際で、左サイドで待つ一木の元にパスが送られてくる。しかし彼が放ったシュートは無情にもポスト右上に外れていく。それが大阪の最後のシュートとなった。「終わったのか」。そう思った一木は、試合終了の笛と同時にピッチにうずくまった。

 その一木の肩を抱き、労いの言葉を掛けたのは、かつての大阪のチームメート、イゴールだった。「『ありがとう』と話し掛けてくれて感情が込み上げてきた」。町田の選手も大阪の選手も、次々に一木に声を掛けていく。彼の目からは涙がこぼれ、そしてそれを拭い去ると、顔を上げた。「やり切った気持ちともうちょっとやりたかった気持ちがある。悔しさもあったけど、一方で清々しさも感じていた」。一木が来シーズンプレーするチームは決まっていない。それどころか、「フットサルを続けていくかも決まっていない」と言う。

 大阪の守備を統率し、パス回しを円滑にしていたチームの大黒柱は、いつしか“いぶし銀”と言われるようになっていた。攻守に汗をかくユーティリティープレーヤーであり、ドリブル突破など派手なプレーも得意としていたが、どちらかといえば“目立たないところで貢献している”選手だった。そのせいもあってか、日本代表とは縁遠く、それゆえに「代表に選ばれる可能性がほぼないということが(退団を決意した)一番の理由」となっていた。今後は家族や仕事を第一に据えながら、フットサルを続けていくのかどうかを考えていく。

 大阪で優勝し、有終の美を飾ることができていれば、それは最もドラマチックだったのかもしれない。ただ、夢破れ、最終日を待たずに大会を去ることになったこともまた、一つの結末だ。「やり切った気持ちともうちょっとやりたかった気持ち」。一木は来シーズンに向けて、自分自身のフットサルに対する気持ちをどう整理し、どんな決断を下すのだろうか。

 選手はそれぞれが思いを抱きプレーしている。日本一の座を懸けて争われるPUMA CUPは、そんな彼らの思いが溢れ出す場所でもある。明日の準決勝は、誰の、どのチームの、どんなドラマが待っているのだろうか。選手たちの一挙手一投足に注目したい。

文・写真=本田好伸

PUMA CUP 2014 第19回全日本フットサル選手権大会 決勝トーナメント
2014年3月14日(金)
会場:国立代々木競技場第一体育館(東京都)
12:30 バルドラール浦安 4-3(0-2、3-1、Ex1-0、Ex0-0) バサジィ大分
14:45 ペスカドーラ町田 3-2(1-1、2-1) シュライカー大阪
17:00 バルドラール浦安セグンド 2-4(1-2、1-2) 名古屋オーシャンズ
19:30 エスポラーダ北海道 3-2(0-1、2-1、Ex1-0、Ex0-0) デウソン神戸

[決勝トーナメント準決勝の組み合わせ]
2014年3月15日(土) 会場:国立代々木競技場第一体育館(東京都)
14:00 バルドラール浦安 vs 名古屋オーシャンズ
16:30 ペスカドーラ町田 vs エスポラーダ北海道


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